大人の休日倶楽部パスで、中部・北関東・南東北7泊8日の旅


第5日その2

新庄から陸羽東線で奥羽山脈に入る、とたんに曇り空に代わり、窓ガラスにポツリポツリと雨粒が着くようになった。

最上駅で特急のような特別仕様車と交換する。五能線の「しらかみ」や、仙台−気仙沼を走る「こがねふかひれ」同様、席指定料金だけで乗れる、快速「リゾートみのり」だった。



堺田はその名の通り、奥羽山脈の分水嶺であり、山形県と宮城県の県境にも近い。 駅の両側が切り通しになっていて、見通しが悪いが、周囲に人家が見あたらない。
奥の細道で芭蕉が「のみしらみ、馬のしとする枕もと」と読んだ「封人の家」が近いが、この駅から行く人はいないだのろう。



鳴子峡が、鳴子温泉の手前、トンネルとトンネルの間で一瞬だけ見えた。


乗り継ぎの間に街中を少し歩く。

鳴子温泉の駅には足湯がついている。



駅舎もちょっと変わっていて、ガラス窓の中は扇形階段教室のようになっている。
扇の要となる位置にステージがあるが、そこには特産品がショーケースの中に納めてあるだけ。折角の特徴のある待合室をもう一工夫できないのかと思う。



温泉街に向かって坂道を上がって行くと、共同温泉「滝之湯」がある。
昔入ったことがあるが、熱い湯が好きだったその頃でさえ熱いと感じた。 汗が収まりきらないだろうから、今回はパス。

滝之湯の横手の階段を上っていくと、鳴子温泉神社に行き着く。



陸羽東線は、殆どの列車が鳴子温泉止まりになっていて、実質的に新庄−鳴子温泉、鳴子温泉−小牛田の2路線に別れている。新庄−鳴子温泉は奥羽山脈を横切る山間路線だが、鳴子温泉−小牛田は平野部を走る。景色も平凡だ。


有備館駅のすぐ前にある有備館へは行ったことがある。
池のある回遊式の庭園と書院造りの大きな建物があるが、なんと藁葺きで少し違和感を感じる。別荘から藩の学問所になったのかと思ったら、その反対だった。駅からもその藁葺き屋根が一部見える。付近の道の側溝には湧き水が流れており、落ち着いた雰囲気がある。

有備館の後ろの丘陵は全体が岩出山城になっている。山道を登っていくと小学校が城内にすっぽりと収まっている。伊達藩はその後仙台に移ったので構造物は何も残っていないが、歩いてみると地形を巧みに利用した壮大な山城であったことが窺える。

この駅は10年ほど前にできたもので、それまでは次の岩出山が最寄り駅だった。岩出山駅の後ろには、ここよりさらに大きな丘陵が続いている。初めてこの線に乗ったときはそちらが岩出山城かと思い、さすがに伊達政宗の城だけあって大きなものだと感心していた。


小牛田に到着。陸羽西線・東線完乗。
この駅は東北本線と陸羽東線、石巻線が交わる交通の要衝だったが、新幹線が西よりのルートをとったため、すっかりローカル駅になってしまった。大きな構内や駅の建物を持て余しているかのようで、改札が地上からコンパクトになって跨線橋へ移動している。


石巻駅で乗り換え。
石巻線は小牛田−石巻と石巻ー女川で別路線のようなダイヤになっている。気仙沼線で前谷地に出て石巻まで来て、ここから仙石線で仙台向かう人が多いようだ。2月に来た時も接続が悪くて石巻ー女川間が未乗になっている。今日もここで小一時間待たねばならない。

石巻市には、漫画家の石ノ森章太郎の作品を集めた石ノ森萬画館がある。 この駅もサイボーグ009のフィギュアが飾られていたり、駅舎の破風にキャラクターのステンドグラスがはめ込まれてたりする。



湖のような万石浦の浜辺を走る。
ここは牡蠣の養殖が盛んな地として宮脇作品に登場する。

「岸辺のいたるところにカキ殻の山がある。そのうちにカキ殻で民家が埋まってしまうのではないと心配になるほどである。人間は、こんなにもカキを食べたのかと思う」(「終着駅へ行ってきます」〜女川(石巻線)) 地面がカキ殻で埋まっている情景を想像してきたのだが、現在はこれ位に盛った後に粉砕処理してしまうようだ。







女川駅到着。
高い天井と無機質でない切符売り場が、いい雰囲気だ。
駅舎は改築されているようだが、小さな終着駅というイメージをよく保っている。


石巻まで引き返し、そこから仙石線で宿泊地の仙台に行く。快速と記載されているのでボックスシートの列車を期待したが、味気ないロングーシートだった。



コンフォートホテル仙台西口に投宿   簡単な朝食付きで4500円
モノトーンのインテリアで、独立空調。バスもやや広め。
オープンなパソコン端末を用意しているホテルは多いが、ここはプリントもフリーになっている。 文句なしに満点。



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