雪の東北冬の旅
計画
東北地方を3回に分けて乗り尽くす。その第1回3泊4日の東北旅行をスタートする。
豪雪地帯を真冬に回るというのが狙いで、「全線完乗」に対しては効率の悪い乗り方になっている。
豪雪地帯の路線というと飯山線、只見線、米坂線が有名だが、結局これらの路線には乗らないことになった。その代わりこれも豪雪線の奥羽本線と、冬の五能線及び最上川の雪見船を軸に置いた。
また、かっての阿仁合線が角館線と繋がったけれど、三セクになってしまった秋田内陸縦貫鉄道にも乗る。しかし奥羽本線を途中で中抜きにするから、後で同じ所を乗り直す事になる。どちらを取るかで、乗り直しは避けられない。
五能線の五所川原から、津軽鉄道のストーブ列車に乗るのというプランを再検討してみたが、金木往復が精一杯で、太宰の生家を見る時間もない。真っ白で何もない野原を走るだけだから、矢っ張りパスする。
花巻で泊まる大沢温泉からは、携帯に宿泊確認の音声メッセージが入っていた。
松田忠徳の「温泉教授の日本全国温泉ガイド」によると、自炊部の混浴露天風呂「大沢の湯」、山水閣の半露天風呂「豊沢の湯」、新館の「山水の湯」の3つには最低限入るべしとある。
最終日の4日目は、未だに悩んでいる。
当初は石巻線の終着駅女川まで行く予定をしていたが、この日は列車に乗っているばかりで観光がない。せっかく松島へ来たのだから、日本三景に立ち寄らないという手はない。2時間あるので五大堂や瑞巌寺だけでは時間が余る。といって真冬に観光船で島巡りをしてもなあ・・・。
乗り継ぎが悪くて石巻−女川をパスせざるを得なかった。後で小牛田から女川までの全線を往復するハメになるのだが。
全行程を地図に描いてみた。

第1回らしく、東北地方のバックボーンを描くような形になった。その「バックボーン」に山形空港から入って、仙台空港から抜ける。
前日
東北各地の気温を見ると、あすから3日間は最低気温−2〜−6度、最高気温も1〜2度とある。
更に今日は温かいはずだが、「今日はザッと雨が降った後は、だんだん雪に変わります。午後にはまた風が強まるため、吹雪による視界不良にもご注意下さい。」とある。
身が引き締まる思いだが、横手市観光協会の「かまくら館」のライブカメラを覗くと

あれっ、雪がない。
横手の「かまくら」って、こんなもの? 妙に作り物っぽい。
第2日目/第3日目/第4日目
第1日
2009/02/15 伊丹−山形空港〜新庄〜高屋〜新庄

昨年は関空ばかりで伊丹空港は久しぶりだ。まだ出張に出かけるような錯覚を覚える。
搭乗する機がなかなか現れない。
ふと、下を見やると見慣れぬ小型機が給油している。
まさか! が現実になった。
山形まで日に5便も飛んでいるから、これぐらいでないと需給のバランスがとれない。考えてみれば当然だった。
エプロンから地上に降りて、タラップで搭乗。
小さいけれど乗り心地は良い。
50人乗りなので、12Aの席でも最後尾。
槍ヶ岳付近だが大型機より低空を飛んでいる。
オーイと呼べば山にいる人が振り向きそうだ。
山形空港からタクシーでさくらんぼ東根駅へ。
立派な駅の2、3階に町立の図書館がある。
列車を待つ間に、郷土史を拾い読みした。
この駅は山形新幹線開通に伴って新設したとある。駅の前後に東根駅と神町駅がある。神町駅は進駐軍の乗降駅になっていたとあるから、このあたりでは最も大きなえきだったのだろう。その後東根駅周辺が栄えるようになった。
新幹線停車駅の綱引きの結果、両者痛み分けで新駅ができたので無いだろうか。
山形新幹線の終点新庄で奥羽本線から陸羽西線に乗り換え。
新庄駅は「駅は見ている」シリーズから、広大なヤードを抱える鉄道の要衝のイメージがあった。
冬は転轍器の凍結防止の火が焚かれて鬼火のようだと。
ところが駅も、構内も意外にコンパクトに出来ている。
駅舎内を、エスカレータで上がって反対側へ抜けられるのが目を引く程度だ。
駅の裏は広大な駐車場になっており、今夜宿泊するホテルもそこにある。どうやら敷地の大部分を売却したようだ。
到着した列車と発車を待つ列車のツーショット。
型式も新旧の違いがありそうだが、その方面の知識は皆無で判らない。
ホームの構造はちょっと変わっていて、広軌の新幹線が1,2番線で、狭軌の3,4番線が仕切りを外せば通り抜けていきそうな位置にある。
元は一本のホームだったのを、改軌に伴って分割使用したようだ。
駅には「新幹線を大曲まで」の垂れ幕も下がっているので、行く行くは仕切りが無くなって、元の風景に戻るかも知れない。

陸羽西線は、5番線からの発車。車体に奥の細道とあるから、奥の細道ラインとでも呼んでいるのだろうか。
この列車のシートはちょっと変わっていて、水平に270度ぐるっと回るようになってる。窓を向いて座ることも可能だ。観光客が多いのだろうか。
古口駅で下車。
ここから船着き場まで、宮脇さんの「途中下車の味」によれば、『駅と乗船場とは「徒歩10分」ほど離れていて、雪の国道を歩かねばならない。交通量が意外に多く、道端に身を寄せて、滑って転ばないようにと一歩一歩踏みしめて歩く私達の傍らを大型トラックがかすめていく。ちょっとスリップすればお陀仏だから、そのたびにヒヤヒヤする。』とある。
幸い、駅からは怪しげな「路線バス」が100円で船着き場まで運んでくれた。
船着き場は立派な門構えの屋敷になっている。これは観光用に建てたのではなくて、芭蕉も詮議を受けた戸沢藩の船番所を移築したのだという。
とうとう雪が降ってきた。本当に雪見舟になりそうだ。
最上川は昨日の大雨で水位が2mも上昇し、濁流となっている。

舟内は炬燵だけでなく暖房も入っており快適そのもの。
予約すれば飲み食いも可能だが、乗船は1時間だけだし、まだ3時頃なのでパスした。
船頭以外にガイドさんが乗っており、おしんの話やら真室川音頭に、ヨーイサノマカショの最上川舟唄と、50分の川下りを飽きさせない。
雪が横殴りに降っている。
「白糸の滝です。」と教えられた方を見る。
奥の細道には「白糸の滝は青葉の隙々に落ちて、仙人堂、岸に臨みて立つ。水みなぎって船危し」とある。『水みなぎって船危し』の実感だけは湧いてくる
流れの速い箇所では波が船底を打って、鋼製の船体を歪める。大丈夫だろうが、こんな濁流に呑み込まれたくはない。
この雪は、結局4日間ずっと降り続いた。
雪の季節に敢えて出かけてきたのだから、本望ではあるけれど。


高屋の船着き場に到着。
こんな季節に物好きは少ないだろうとタカを括っていたが、最上川の船下りは年中盛況だそうで、正月三が日も営業しているという。
団体さんの喧噪が観光バスと共に去っていった後、道路に最上舟がポツンと永久係留されていた。
高屋から古口間は最上川沿いに線路が敷かれている。
雪中の船下りなとど酔狂な事をやらないでも、「集めて早し最上川」は充分に楽しめる。
新庄駅に戻ってホテルにチェックイン。
さくらんぼ東根駅の図書館で調べた蕎麦屋へ向かったが、本日定休日。考えて見れば日曜日なので、チェーンでない店は休んでしまう。
駅ビルの店で名物の板そばを注文。ざるでなく盆のような容器に、コシが強い蕎麦が普通の1.5倍くらい盛られている。満腹。
売却された新庄駅の操車場は駐車場とホテルに変わっていた。そのホテル「ルートイン新庄駅前」は新しくて気持ちが良い。大浴場が有り。セミダブルベッドだった。
日曜日プランとかで朝食付き\5000はお値打ちだった。
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